Qunar.com Qunar.comという中国最大のトラベルサイトが、米国のIPOで1億2,500万ドル(約125億円)の資金調達を予定しています。

現在、Qunar.comは、赤字ですが、会員数は、2億人を超えており、売上げも順調に伸びており、中国最大の検索エンジンであるBaidu.comの子会社という事もあり、総合的に今後の安定成長が期待されていると言えます。

Form S-1に記載された過去3年間の実績は、次の通りです:

2010年 売上高1億2,388万元(約19.7億円) 純利益-437万元(約-0.7億円)

2011年 売上高2億6,243万元(約41.8億円) 純利益-4,595万元(約-7.3億円)

2012年 売上高5億173万元(約79.9億円)  純利益-9,111万元(約-14.5億円)

そんなQunar.comですが、興味深いのは、ケイマン諸島に本社を置いている会社だという事です。

今回、上場を予定している会社も中国法人ではなく、Qunar Cayman Islands Limitedというケイマン諸島のホールディングカンパニーになります。

ケイマン諸島のホールディングスカンパニーの100%子会社にQueen’s Road Investment Management Limitedがあり、その100%子会社として北京で事業を運営する Beijing Qunar Software Technologyがあるような仕組みとなっています。

日本では、「ケイマン」というと「何だかグレー」なイメージが強かったりしますが、中国や香港や米国では、そうでもない模様です。


Qunar.comの親会社であるBaidu.comや中国で有名最大のポータルサイトであるTom.comもケイマン諸島に本社を登記している会社だったりします。

中国で事業展開をするケイマン諸島の会社が香港や米国で上場する事例は、「よくあるパターン」となってきていると言えます。

例えば、2010年末の段階で香港証券市場に上場している会社1,244社の内、ケイマン国籍の会社は、454社となっており、実に36.5%がケイマン国籍となっています。

これに対して香港証券取引所のホームとなる香港企業は、198社で全体のわずか15.9%となっています。

日本の証券市場では、ケイマン国籍の上場企業は、「怪しい」という印象ですが、香港の証券市場の「ケイマンは当たり前」というものになっているというわけです。

また、香港市場は、時価総額では、東京証券取引所の7割くらいですが、資金調達額においては、2011年まで世界第1位となっています。

2012年は、世界第4位となったものの既に世界トップレベルの証券取引所になりつつあり、ケイマン国籍を親会社に持つという組織形態が、メジャーな市場でも当たり前になりつつある事がわかります。

ケイマン諸島のような海外に本籍地を置いている背景としては、税務メリットや組織設計が柔軟で組織再編をしやすい事が挙げられます。

メリットが大きいので、中国系企業は、ケイマン諸島に親会社を登記しているわけです。

一方、日本企業の場合、ケイマン国籍に転換した場合、実利以上にメディアバッシングや社会的信用の毀損といった問題が想定され、結果的に行動に移す会社も少ないのかもしれません。

という事で日本では、レアでイメージの悪いケイマン国籍企業も海外では、普通となっている等、国が違えば常識も変わってくるというお話でした。


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