キプロス銀行

キプロス銀行で10万ユーロ以上の預金者は、10万ユーロ超過分の47.5%を凍結れ、強制的にキプロス銀行の株券へ転換されるというニュースが、今年7月末に世界を震撼させました。

いままでは、銀行が破綻しそうになった場合は、「ベイルアウト」という形で公的資金による銀行救済が一般的でしたが、キプロスでは、「ベイルイン」という形で預金者に損失補填を求める形となったのが特徴的でした。


キプロスは、「ベイルイン」方式による銀行処理事例のモデルケースとして世界中で認識され、今後、同様の事例がEUを中心に出てくるのではないかと懸念する専門家もいました。

しかし、ニューヨークタイムズ紙によると当のロシア人富裕層は、預金を凍結された事は、不満に思っているものの、キプロスで一番重要な金融機関であるキプロス銀行へ影響力を行使しやすくなったことには、満足しているようです。

というのもキプロス銀行の預金超過分の大半は、ロシア人保有分だったため、それが自動的に株式への強制転換となり、結果的にロシア人がキプロス銀行の約60%を保有する新しいオーナーになったためです。

キプロス銀行の財務状況は、かなり悪化しており経営難が想定されるもののキプロスを代表する銀行でキプロス経済そのものへの影響も莫大であるため、外国人であるロシア人が支配権を持てたことは、今後、資源が豊富なキプロス経済へ影響力を行使できる大きなステップだと言えます。

このような背景もあり、キプロス金融問題で一番損を被ったのは、預金者であったロシア人ではなく、危機前からの旧株主の大半を占めるキプロス国民だと考えられます。

キプロス銀行の株価(過去5年間)

キプロス銀行の株価(過去5年間)

このように金融問題後には、キプロス銀行の株価は、1株0.21ユーロとなっており、2011年初頭に2.5ユーロだったのが、わずか2年半で約1/10となってしまっています。

キプロス銀行に50万ユーロを預けていた預金者は、10万ユーロ超過分である40万ユーロの47.5%(19万ユーロ)を株式へ強制転換させられましたが、保証分の10万ユーロと株券へ転換されなかった21万ユーロの合計31万ユーロは、手元に残り、キプロス銀行の株式も残るということになります。

これに対して、旧株主は、50万ユーロ分の株式を2011年初頭に保有していた場合、5万ユーロ以下の株券しか残らないというわけです。

キプロス銀行は、優良銘柄としてキプロス国民から信頼されてきた経緯がありますが、そんな優良銘柄でも紙切れ同然になってしまうというのは、怖いですね。

ただ、こうして株価を見てみると2012年の夏頃には、既に株価は、2011年の1株2.5ユーロの1/5以下を推移していたので、こういった危機は、ある日突然起きるのではなく、「予兆」というのは、しっかりあったと言えます。

こういった「予兆」を的確に把握するためにも自らの資産の株価や時価は、定期的に把握しておくのが良さそうですね。


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