日経225

ウォーレン・バフェットの銘柄基準で日経平均銘柄を見てみるとその基準を満たす銘柄はほとんどないことがわかりました。

「ROE15%以上」という点で該当する銘柄は、ほとんどなく、「1株当たりの利益が安定的に拡大している」という点と「借入金がないか少ない」という点でさらに足切りされていく事になります。

「ROE15%以上」という基準は、1997年の「バフェットロジー」出版時の基準と言え、当時は、インフレ経済の米国の10年国債は、7%近かったという背景があります。米国10年債の利回りやインフレを考慮した上でより魅力的なROEを提示するという意味で「ROE15%以上」が1つの基準として定着したものと考えられます。

一方、日本の現在の10年国債は、1%弱なので、当時の米国の7%とは6%の差があり、それを考慮すると「ROE9%以上」でもデフレ下の日本企業としては、十分な実績と判断できるのかもしれません。

しかし、ここでは、「バフェットロジー」の基本に忠実に「平均ROE15%以上」「1株当たりの利益が安定拡大している」「借入金がないか少ない」を軸に日経平均銘柄を抽出してみたところ該当する銘柄は、次の2社となりました。


■バフェット基準を満たす日経平均銘柄⑴:ファーストリテイリング(東証一部:9983)

9983

ファーストリテイリングは、世界4位のSPA型アパレル小売りとして急拡大中です。中でも原点である「ユニクロ」ブランドは、国内外で良く知られており、「安くて高品質」という事から消費者から絶対的な支持を得ており、バフェットの言う「コンシューマー・モノポリー」を実現していると言えます。

また、1株当たりの利益もROEも順調に拡大しています。ROEは、近年さらに高まっており、事業全体が拡張しているにも関わらず経営効率は上がっていると判断できます。

借入金は、2012年8月期に150.44億円ありますが、同期の純利益716.54億円で十分賄いきれる範囲なので問題ないと判断できます。

直近5期の株価収益率は、27.4倍〜41.3倍で推移しています。

ゼロから事業を拡大させてきた創業者が現役のため「平均18.45%の高ROE」や「1株当たりの利益拡大」を徹底的に管理できていると言えますが、今後、創業者から「プロ経営者(サラリーマン経営者)」にバトンが渡された後もこの姿勢を維持できるのかどうかが株主としての最大の関心事の1つと言えます。

・ファーストリテイリングの1株当たり当期純利益推移

2007年8月期 311円

2008年8月期 427.38円

2009年8月期 488.96円

2010年8月期 605.99円

2011年8月期 533.93円

2012年8月期 703.62円

・ファースとリテイリングのROE推移

2007年8月期 13.6%

2008年8月期 17.3%

2009年8月期 19.1%

2010年8月期 22.6%

2011年8月期 18.1%

2012年8月期 20.04%

平均18.45%

■バフェット基準を満たす日経平均銘柄⑵:ヤフー(東証一部:4689)

4689

ヤフーもコンシューマー・モノポリーを実現している会社だと言えます。

日本のインターネットユーザーの誰もがヤフーを知っており、ヤフーブランドの中でインターネットに触れてきたという経緯もあるので、今後もメガブランドとして残っていく可能性が高いと言えます。

ヤフーの1株当たり純利益は、継続的に拡大しており、ROEも5年間の平均が、26.96%となっています。

懸念事項としてROEは、下降傾向にあり、2008年に31.0%だったのが、2012年には、22.8%となっているという事ですね。このまま下降傾向で推移していくとROE15%を割り、高ROE銘柄で無くなるという可能性もありますが、経営陣の努力でROEを再び上昇気流にのせる事ができれば問題は解決します。

ヤフーの経営者は、2012年に若手経営者に交代しており、今後は、新経営者の手腕が試されていると言えます。

ヤフーの株価収益率は、直近5期では、15.45倍から23.67倍で推移しています。

・ヤフーの1株当たり当期純利益金額推移

2008年 1,255.52円

2009年 1,438.23円

2010年 1,589.53円

2011年 1,733.81円

2012年 1,984.31円

・ヤフーの1株当たりROE推移

2008年 31.0%

2009年 30.7%

2010年 26.6%

2011年 23.7%

2012年 22.8%

平均26.96%

この他にバフェット銘柄基準を満たす可能性のある日経平均銘柄としては、「JT(2914)」「ソフトバンク」(9984)が挙げられます。

JT(2914)に関しては、IFRS会計基準転換後の2期は、ROEも1株当たり利益も好調ですが、借入金も純利益の1年未満のため問題はありませんが、IFRS転換から2期という期間が短かったため除外となりました。

ソフトバンク(9984)は、売上高も営業利益も順調に拡大しており、1株当たり純利益もROEも拡大していますが、有利子負債が純利益の約7倍あり、純負債と見た場合でも純利益の2倍以上あるので除外となっています。今後、有利子負債が減っていく過程でソフトバンクの魅力は益々高まるはずです。

また、日経平均銘柄に囚われず日本の上場企業全般を見ていけば、該当銘柄は増えるはずです。


特にクックパッドのようなITのメディア系企業には、15%以上のROEで借入金がなく、消費者に支持され、1株当たり利益も順調に毎年拡大している企業がたくさんありそうです。

「日経平均銘柄」と聞くと一般投資家は、日経平均銘柄に選ばれているという事だけで社会的信用も厚く投資価値を感じたりしますが、その中からさらに100社に1社しかバフェットの銘柄基準(「バフェットロジー」内基準)をクリアできていないという現実があります。

この事からもバフェットがいかに銘柄選定に厳しく、入り口の段階で「非常に優秀な銘柄しか採用しない」という方針を貫いているのかがわかります。

「採用する段階で全体の最上層しか採用しない」というのは、有名大学の採用や一流企業の採用活動と似ているようなものがありますね。