Sapporo

出典:Wikimedia-Commons

2003年頃から「サラリーマン大家さん」というキーワードが流行り始め、サラリーマンでも不動産投資をする人が少しずつ著書を出版するようになりました。

その背景としては、デフレ下の日本経済では、定期預金でも株式投資でもほとんどリターンが得られないという中(株式投資に関しては、やり方によると言えますが、ここでは、日経平均で考えた場合とします)、不動産投資では、安定的なリターンが確保できたためです。

また、サラリーマンという信用力を活かして低金利で借入をすることが出来る環境もその流れを加速させる一要因だったと言えます。

2003年以降の不動産の投資利回りは、取得する物件・地域によって大きく変わってくるものの、都心の一等地で表面利回り5〜7%、それ以外の都内物件で7〜12%、地方の高利回り物件で13〜18%くらいでした

この利回り水準というのが、昔は、どれくらいだったのか、という事に以前から興味があったのですが、「お金の神様」として知られる故・邱永漢氏の著書、「新・借金学入門」で1967年の事例があったのでメモしてみました。

邱永漢氏は、小説家として直木賞を受賞していますが、お金や投資全般に関する著書もたくさん発表しており、サラリーマンをしながら資産を増やす方法についての方法を解説してきた先駆者的な存在だと言えます。

また、自身も自由な生活を営みながらも投資家・事業家として大成功しており、ファーストリテイリング(ユニクロを運営)の会長である柳井氏やサムソンの創業一族と親密な関係にあった事からも大御所の資産家からも一目置かれていた人物であった事がわかります。


そんな邱永漢氏の「新・借金学入門」によれば、1967年の日本では、衛星都市や地方都市であれば、建物付きで10〜20坪(33〜66平米)の店舗物件を300万円で購入できたとの事です。

そして、300万円の店舗物件をテナントに100万円の敷金と月3万円の家賃で貸し出す事ができたとの事です。

月3万円ということは、年36万円なので、1967年の日本の衛星都市では、300万円の物件を表面利回り12%で貸し出せたという事になります。

また、100万円は、敷金ですぐに回収できるという事を考えると300万円の自己資金の内、200万円が年36万円で運用されているとも考えられます。この場合、表面利回りは、18%となります。

当時の金利は、高く9%〜10.8%だったということなので、賃料収入から利息と固定資産税を払うと部分的に元金返済に当てられるくらいだったとの事です。

元金返済は、あくまでも自分の他の収入を割り当てていき、5年〜7年で元金を返済していくことを想定していたようです。

1967年の日本の不動産投資環境は、インカムゲインで表面利回り12%を見込め、金利が9〜10.8%であり、インフレ経済下であったことからキャピタルゲインも見込めた環境であった事がわかります。

インカムゲインもキャピタルゲインも見込めるという魅了的な環境であったため邱永漢氏は、「新・借金学入門」で借金をして不動産を購入し、資産形成をしていく事をススメており、その通りに動いた人は、不動産価格の上昇の恩恵を受けて一角の資産家になっていた事になります。

不動産への投資もその時代によって潮目があり、歴史を把握することで今がどんな状況なのかを的確に判断でき、投資の精度も挙げていけそうですね。

ちなみに2003年〜2013年までの日本の不動産投資環境は、インカムゲインで1968年代と同じくらいの表面利回りは、確保できたものの、デフレ経済下のため不動産価格は、基本的に一部都心一等地を除いては、キャピタルゲインは見込めないもの、という認識が一般的でした。

また、1980年代のバブル経済下では、インカムゲインは、2〜3%まで下落をしており、キャピタルゲインは、見込めたものの時代の終わりと共に不動産価格も暴落したという事は、周知の事実です。

このように時代によって不動産の投資対象としての魅力や特徴は変わってきているので、不動産に関わらず、投資をする際には、その時代のトレンド、というのを意識していけるといいですね。


■関連記事

邱永漢が最初に財を成した方法とは?

邱永漢氏の言葉。99年に08年米政府による民間救済を予見していた凄い眼力。