プーチン大統領

2013年8月28日の日経新聞によるとロシア人富裕層による海外への資産動きが急激に加速しているとのことです。

キプロス金融問題があったため、逃避先としてキプロスの人気は減少しており、バージン諸島の人気が増しているようです。

ロシアから国外へ流出した投資額は、2013年1月〜3月で672億ドルとなっており、2012年10月〜12月の6倍となっています。また、既に現時点で過去最大であった2011年の年間投資額668億ドルを上回っているという事からもその勢いが伝わってきます。

国外投資が拡大している背景として①「自国通貨が強いから(投資をするのに良いタイミング)」ということや②「自国通貨安が心配だから(外貨へ分散投資をする良いタイミング)」という理由が考えられると思ったのですが、どうも違うようです。

米ドル・ロシアルーブル推移(過去10年間)

米ドル・ロシアルーブル推移(過去10年間)

まず、米ドルとロシアルーブルを見てみると2009年以降は、比較的安定しており、ルーブルが特に強いから海外投資をしているということではなさそうです。

また、ロシア経済を見てみると経常収支は、2012年には、81.31億ドルの黒字となっており、なんと世界5位の経常収支大国となっています。

さらに財政収支も黒字で推移しており、政府債務も2012年GDP比で10.88%しかない状態なので、200%を超えて随分と時間の経つ日本よりも健全な状態にあったりします

ということで、通貨安に悩まされているブラジルやインドネシアやインドとは異なり、極端な通貨安の懸念から海外投資を加速させているわけでもなさそうです。

では、なぜ資金を逃しているのかというと日経新聞が掲げるように「ロシア経済の急減速」というのも一要因としてはあると思いますが、決定的なのは、「プーチン大統領から逃れるため」かもしれません。

プーチン大統領は、昨年の選挙キャンペーン等でも国の資産を1990年代の社会主義崩壊時に安値で買い上げた起業家たちに一時的な税を課す事を検討していることも明言しています。

「オリガルヒ」と呼ばれるロシアの超富裕層の大半が、1990年代の社会主義制度崩壊時に国の財産を安く入手した事で財を成していることからもプーチンとオリガルヒたちの対立関係が伺えます。

プーチン大統領は、早速、昨年からフェデラル・フィナンシャル・モニタリング・サービス(Federal Financial Monitoring Service)という政府機関を自ら統括し、マネーローンダリング対策という名目でさまざまな資金移動を制限する法案の改正等を実行しています。

もともとオリガルヒたちは、海外に資産を保有する傾向があったと言われていますが、今年に入って海外への資金移動が急激に加速している背景には、プーチン大統領自身が規制に向けて本格的に動き始めたという事が関係していそうです。

プーチン大統領に関わらず、各国政府の立場から見れば、国外に眠る自国民富裕層の財産は、「潜在的な課税対象財産」であり、「収入源」なので、タックスヘイブンの弾圧及び富裕層の課税は、日本やアメリカも含め今後も世界中で加速していきそうです。


■関連記事

リヒテンシュタインの銀行、IRSへ238万ドル支払い。強まるタックスヘイブンへの包囲網。

アメリカの法人税制の魅力は100カ国中94位(ジンバブエの次!)。日本は、92位。