米国NSAが運営するインターネット上の情報監視システムPRISMの存在をリークしたエドワードスノーデン元CIA職員は、米国主要メディアでは、国家を裏切った「反逆者」と報道されてきました。

しかし、6月28日〜7月8日の間に米国市民2,014人を対象にした電話調査の結果では、55%が「内部告発者」(ホイッスルブローワー)と好意的に評価していることが判明しました。

エドワードスノーデン元CIA職員、55%が「内部告発者」と判断

エドワードスノーデン元CIA職員、55%が「内部告発者」と判断

「内部告発者」(ホイッスルブローワー)とは、組織の中に属しながらもその組織が不正があった場合、不正を告発する存在という意味です。「ホイッスル」は英語で「笛」ですが、それを吹くもの(ブローワー)という意味で「警告を鳴らす者」「危険を知らせてくれる者」として割と好意的に受け止められている言葉です。

一方、「反逆者」(トレイター)は、「裏切者」なので、完全なマイナスなイメージですね。

今回スノーデン氏が暴露した国家監視システムの存在は、米国の国益に適った極秘プロジェクトだったので、それを許可無しに海外のメディアに公開してしまったのは、「反逆者」の行為と米国マスメディアでは、受け止められていました。

しかし、そのように米国市民は考えていないという事が今回の調査でわかったというわけです。

多民族国家である米国では、属性別にほぼすべての社会問題への見解がかなり異なってくるのが当たり前ですが、スノーデン氏の告発で明らかになった「国家監視システム」の存在に関しては、「テロリスト対策としても明らかに一線を超えてしまった」という見解で珍しく属性を超えて一致したそうです。

米国市民の間では、性別、所得、教育、年齢に関わらずスノーデン氏を「内部告発者」(ホイッスルブローワー)として評価しており、唯一の例外は、黒人層では、43%が「反逆者」と回答、「内部告発者」は、42%だったそうです。

最近は、日本のメディアでも「容疑者」として扱われているスノーデン氏ですが、「内部告発者」なのか「反逆者」なのか、これは、結局のところ「誰が判断するのか」というので変わってくるわけですね。

オリンパス事件でもマイケルウッドフォード元社長の「内部告発」があって始めて「事件化」した経緯があり、告発がなければ大きな問題にはならなかったでしょう。

ウッドフォード元社長が「内部告発」をした結果、はじめて世論と監督機関が動いたという経緯があるので、オリンパスの元経営陣からすれば、ウッドフォード元社長は、「反逆者」だったわけです。

米国市民からは、「内部告発者」と評価されているスノーデン氏も米国政府や政府関連のエスタブリッシュメント層からすれば、今もこれからも「反逆者」なわけです。

世界一の経済と軍事力を持つ米国政府を敵にまわした時点でスノーデン氏の将来は、不確実性と危険に満ち溢れたものになったわけですが、当然ながらこのような事態に発展することは、当人も十分理解していたはずです。

自らの生命の存続や社会的評価が危険にさらされてでも内部告発し情報共有をする必要性を感じたということなのでしょう。

金銭的メリットがなく、生命や社会的評価の危険性がある中、純粋な正義感でここまでリスクテイクしたスタンスは、かなり非凡なものがありますね。