リヒテンシュタイン

タックスヘイブンとして知られるリヒテンシュタインの銀行が10年間に渡り海外口座情報を申告していなかった数百人の米国人の脱税を結果的に支援したとして米国のIRS(内国歳入庁)に2,380万(約23億8,000万円)を支払うことで合意しました

2,380万ドルの内訳としては、1,630万ドルは、無申告口座維持から発生した収入の「没収」として、750万ドルは、「返還」扱いとなるそうです。

銀行側の姿勢が協力的だったため刑事訴訟へは発展しないということです。

2006年の段階で900件の米国人の無申告口座があり、3億4,000万ドル(約340億円)の無申告財産があったそうです。

リヒテンシュタインの銀行は、200件以上の顧客情報を司法省へ提出することで和解をしました。

今回の事件は、米国IRSが、タックスヘイブン対策に本気だというメッセージの1つだと受け止められるでしょう。

該当するリヒテンシュタインの銀行(金融機関名は明記されていません)は、IRSへ迅速に協力できた「模範生」として厳しくも好意的に評価されていると言えます。

このようにIRSの要請に素直にかつ迅速に応じれば、多少なりの罰金を建前上支払えば、米国国内で営業を継続しても問題ないという事ですね。

また、IRSの要請に応じない場合は、罰金だけではなく刑事事件に発展する事も示唆していますから米国で営業展開をしているタックスヘイブンの金融機関としては、IRSに応じて顧客情報を譲歩するか、それとも米国市場から撤退を検討するのかを迫られていると言えるでしょう。

日本でも海外の個人資産が5,000万円以上の場合は、申告義務がありますが、日本の場合は、海外に住んでいる非居住者の場合は、申告義務はありません。

日本に住んでいる場合は、全世界の収入に対して申告義務があるわけですが、海外居住の場合は、住んでいる国の法律に従って下さいというルールなわけです。

住んでいる場所に従うので属地主義と言われていますが、現在は、世界的にこの属地主義が一般的になりつつあると言えます。

しかし、米国の場合は、属人主義という考え方なので、米国人であれば世界中どこに住んでいようと全世界の収入を申告しなければならないというルールになっています。

そんな中でリヒテンシュタインのような守秘義務が非常に高いと言われるタックスヘイブンにお金を預ける米国人が出てきたりするわけですが、米国IRSとしては、ルールを守らない者は許せないということもあり、まずは、自国で営業展開をするタックスヘイブンの金融機関に対して圧力をかけているというわけです。

アメリカのような属人主義を取っている国は珍しいので、仮に海外に住んでいてもすべての収入をIRSと共有しなければならないアメリカ人は、「かなり気の毒」だと言われることもありますが、母国の税法に従うのは、どの国でも国民の義務なので、義務は速やかに執行したいものですね。

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