内部告発

元CIA職員エドワードスノーデン氏のニュースで「内部告発」という行為に注目が集まっています。

「内部告発」は、組織の違法行為や悪質な習慣を世にさらし正していく行為なので、大きなリスクが伴います。例えば、解雇リスクや再雇用が難しくなるリスク(大手企業は、好んで内部告発者を採用しない)等です。

このようなリスクを犯してまで内部告発に踏み切る理由は、「純粋な社会正義」という場合もありますが、特に米国では、「お金」も大きなモチベーションになっていたりします。


例えば、企業不祥事を告発し裁判となった場合、「和解」という形で告訴していた企業から多額の和解金が支払われる事が米国ではよくあります。

米国政府でも企業不祥事を減らしたいという意向があるので、内部告発を促しており、内部告発者の協力の結果、政府が和解金といった形で利益を得た場合、利益の10〜30%を内部告発者に支払うといった「インセンティブ」を設けていたりします。

ここでは、実際に米国で発生した内部告発事例を見てみたいと思います。

内部告発者トムカンター氏

トムカンター氏は、科学者であり年商2,500万ドル(約25億円)のバイオテクノロジー企業の代表です。

年商60億ドル(約6,000億円)の大手製薬会社クエストダイアグノスティックス社の副甲状腺ホルモンの試験的製品に品質不備が潜在的に50万人の透析患者に健康被害を与えている事に気づき、米国政府の訴訟に協力します。

CNBCによるとカンター氏は、最終的に米国政府のために和解金3億200万ドルを獲得する事に成功し、自身も政府から4,200万ドル(約42億円)の報酬を得ています。

シェリルエカードさん

チェリルエカード女史は、グラクソスミスクラインの運営するプラントの1つで製造工程の問題を発見し、上司に相談したものの真剣に取り扱ってもらえず、やがて解雇されてしまいます。

その後、米国政府に問題を相談したところグラクソスミスクラインに対する訴訟に至り、2010年に7億5,000万ドル(750億円)の和解となりました。彼女自身も内部告発の協力対価として9,600万ドル(96億円)を与えられています。

「とても大変でした。とても難しかったです。金銭的にも感情的にも何とか切り抜けられましたが、とても大変でした。」とチェリエカード女史は述べています。

このように米国政府が本格的に内部告発を奨励しており、告発の結果、十分な金銭的対価を得られるという成功事例も出てきているため、大きなリスクを犯してまで告発に踏み切る人が増えているというわけです。

ということで、米国では、「純粋な社会正義」に加えて「告発という大きなリスクを犯しても勝てれば対価がある」というリアルな金銭的メリットも享受できる仕組みが制度として整備されつつあるというお話でした。


■関連記事

内部告発者ブラッドリーマンニング

内部告発方法(メール編)

内部告発方法(携帯編)