アメリカのニューヨーク・タイムズが、「Mr. Abe’s Dangerous Revisionism」という社説で安倍首相の批判をしています。
特に問題視されているのが、次の点です:
●1937年の南京大虐殺は、起きていなかったという主張(安倍首相及びその関係者による)。
●慰安婦への謝罪を撤回する可能性
●ワシントンD.C.から靖国神社訪問は、控えるよう明確なサインがあったにも関わらず、「国のために命を捧げた者たちへの敬意を表しただけ」という理由から訪問を実行したこと。
このような歴史問題を持ち出すことで日中関係の悪化を招き、アメリカとしては、日本を協定により防衛する義務があるものの日中関係の悪化は望んでいない、としています。
安倍首相のナショナリズムが、日米関係の脅威になりつつある、と述べながら、最後は、「軍備強化にはアメリカの同意が必要で、安倍首相及びその関係者は、日米同盟に対して深いコミットメントがある。」と一歩引いて締めくくった内容となっています。
日本への牽制の意味合いが、強い記事だと言えますが、ニューヨーク・タイムズ誌は、安倍首相の行動を「ナショナリスト(愛国者)」的だと捉えているということが伝わってきます。
「ナショナリスト」という言葉は、「愛国者」という意味なので通常、ポジティブなニュアンスで使われます。
しかし、日本の「ジャパニーズ・ナショナリズム」というのは、戦前の日本軍の文脈で語られることが多く、アメリカにとっては、かつての「敵」であり「危険な存在」であったため「日本軍の再来」的なネガティブなニュアンスで受け止められています。
このような見方は、日本に住む我々からすれば、決して事実を反映したものではなく反論の余地が多々あったりしますが、ニューヨーク・タイムズ誌を筆頭に海外では、「日本のナショナリズムの再来」という論調も少しずつ強まってきているので、海外が日本を見る眼も意識していきたいですね。