話題となりつつある米国政府のシャットダウンですが、その可能性と影響はどのようなものなのでしょうか?
まず、過去を振り返ってみると米国政府は、クリントン政権時代に当たる1995年に5日間、1996年に3週間のシャットダウンを経験しています。
重要な政府機関の閉鎖は免れたものの国立公園が全米中で360以上閉鎖となったり、20万人のパスポート発給が遅れる等の影響もあったため、シャットダウンでクリントン大統領の支持率は、下落し、株価も下がりました。
そのような先行事例もあるので、今回が初のシャットダウンという事ではなく、議会で合意に至らず双方が折れなかった場合、最悪のシナリオとしてシャットダウンとなる可能性はあるという事です。
ただし、米国政府が閉鎖した場合、FRBも金融緩和を継続し、回復基調になってきた米国経済の株価も下がる可能性が高く(既に株価は、下がり始めている)、生活に影響が出てくることからもシャットダウンは、避けて欲しいというのが、米国国民のコンセンサスとなりつつあります。
そんな背景の中、下院では、「オバマケアの予算打ち切り」を前提条件とした翌年度予算案が通っている状態で、法案は、現在、上院を通過中です。
民主党である上院は、「オバマケアの予算打ち切り」の部分を削除した上で共和党の下院へ法案を戻す事になりそうです。
そして、最終的には、下院の方で「オバマケアの予算打ち切り」がなくても翌年度予算を進めていくのかどうかを判断していく事になります。
下院議長であるベイナー議長及び下院議員が、最終判断として「オバマケアの予算打ち切り」にこだわり続けた場合、米国政府はシャットダウンとなりますが、「オバマケアの予算打ち切り」に関しては、今回見送るという決断になれば、シャットダウンは回避できるというわけです。
また、妥協案として「オバマケアの導入時期を遅らせる」といった第三の案を提示してくる可能性もあります。
直近では、2011年に政府シャットダウンの可能性がありましたが、最後の最後で合意に至り、ぎりぎりのところでシャットダウンを回避しています。
今回も振り返ってみると茶番劇となる可能性がありますが、世界経済へのインパクトも大きいので、引き続き見ていきたいと思います。
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