ウォールマート

ウォルマートは、年間約4,700億ドル(約47兆円)の売上を挙げている世界最大の小売業者であり、売上高世界一の上場企業です。

ウォルマートは、創業者であるサム・ウォルトン亡き後(1992年)も順調に成長し続け現在に至っていますが、ここにきて、以前ほどの勢いが失われつつあります。

それを裏付けるポイントを3つ紹介したいと思います。

⑴売上の伸び率に対して在庫の伸び率が高くなっており、「在庫過多」な状態に

2013年の第二四半期の売上伸び率は、約2%だったのに対して在庫の伸び率は、6.9%。前年同期比の売上伸び率が、3.8%に対して在庫の伸び率が、3.6%という状況と比較しても在庫過多になっている状態です。

また、同業他社が売上伸び率「1」に対して在庫伸び率が、「2」で推移している中、ウォルマートの場合、「1:3」となっており、同業他社と比較しても在庫が増えている状態に陥っています。

小売業では、在庫を増やせば増やしただけ売上は上げやすくなりますが、回転率が悪くなると経営効率が下がり、後々苦労する事になると言えます。


⑵少しずつ低下している売上高成長率

Explore more WMT Data at Wikinvest

小売業における「レッドカード」は、在庫が増えても売上が伸びなくなる事だと言えます。仕入れ枠を増やしても売上が伸びなければ、経営効率は、著しく悪化してしまいます。

ウォルマートを見てみると1996年〜2003年の間見られた10%を超える売上高成長率は、過去のものとなっており2005年〜2013年までの間は、乱高下はありながらも全体的な傾向(チャート)としては、売上高成長率は、右肩下がりとなっています。

売上高成長率がどんどん低下している中、今回の在庫高なので、「在庫が増えているのに売上高が伸びない」という状態に近づいていると言えます。

⑶少しずつ低下している粗利率

他に懸念すべき点としては、粗利率が緩やかに低下している事です。

粗利率というのは、売上高から原価を差し引いた商品の粗利をパーセンテージで表現したものです。

例えば、売上1万円で原価5,000円の商品の場合、粗利は、5,000円で粗利率は、50%となります。

2011年1月末  売上高4,218億ドル 粗利1,069億ドル 粗利率25.34%

2012年1月末  売上高4,470億ドル 粗利1,118億ドル 粗利率25.01%

2013年1月末  売上高4,692億ドル 粗利1,167億ドル 粗利率24.87%

ウォルマート

このように3年間で粗利率が、0.5%近く低下しており、ウォルマートのようなもともと粗利率が低い業態では、0.5%の利益率低下は、問題だと言えます。

こういった要素は、総合的に「成長の鈍化」を表していると言えます。

もちろん、ウォルマートは、世界最大の小売業者であり、売上高に対して3%以上の純利益を維持している優良企業ですが、10年前のウォルマートが持っていた勢いは、少なくとも失われつつあります。

また、巨大な金融緩和による景気回復が演出されている米国の消費市場ですが、米国の一般家庭の財布の紐は、厳しくなっており、それがウォルマートの業績に反映されつつあるとも言えそうです。


■関連記事

経済危機を経て強くなっている米国経済と弱くなっている一般米国民

約7割の米国人は、金融危機後の政策は、貧困層や中流層や中小企業のためになっていないと感じているという調査結果

米国経済は回復しているようでも米国国民の8.4%は、自らを「下流階級(Lower Class)」と認識。過去最大。